得意とするもの
顔面神経麻痺

顔面が麻痺する原因は
これは様々です。代表的なものに帯状疱疹ウイルスが顔面神経管の中の顔面神経に感染して生じる「ラムゼイ・ハント症候群」があります。ヘルペスウイルスによって発症する「ベル麻痺」もあります。ケガなどに起因しておこる「外傷性」のものも「脳卒中」や「腫瘍」を析出する際に神経を傷つけて起こる場合もありますし、生まれつき麻痺している場合もあります。
顔面麻痺の対処法と治る可能性
原因が様々なので対処法も異なりますが、代表的な「ベル麻痺」や「ハント症候群」でのファーストチョイスは、ステロイド注射とウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤によるものす。8割の方が治ると言われていますが、6か月を過ぎると顔面の表情筋が痩せてきて回復の確立がかなり下がります。こうなると、手術やボツリヌス菌を使った方法などが試みられますが、なかなか思うように回復してくれません。
顔面神経への鍼灸
麻痺を発症したらすぐに鍼灸を開始した方が治る確率は高まります。早ければ早い方がいいです。
最近の治療例でいえば、2か月前にハント症候群で下顎に麻痺が起こった千葉県富里市の方がいますが、最初は歯間ブラシを通しても感覚が全くなく口も歪んだ状態でしたが、毎回施術するたびにスッキリする感覚が生じ、17日間(6回)の鍼通電と超音波で歯周囲の感覚が戻ってきました。
発症から1年経過し、顔面神経麻痺の後遺症(病的共同運動)にボツリヌス菌(食中毒の原因菌)のタンパク質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する「ボツリヌス療法」を行った千葉県香取市から来られた患者さんの場合は、初見時は車の運転で瞼が落ちてきてしまい支障が出てきていたものが24回の鍼で車の運転には支障が出ない程度に回復してきました。見た目も改善し左右差もなくなりました。しかしながら、まだ瞼の違和感は残っており完治まではもう少しかかりそうです。
東京・横浜・神奈川や海外など遠方より来られる方が多いので施術期間の制約も多く十分なケアができない場合が多いのですが、それでも約8割の確率で治癒または、何らかの結果を出せております。
鍼治療を行う場所は主に顔面部で、表情筋に行っている神経の走行に沿って行いますが、ここ(顔面)は多くの経穴が存在します。
当院では整形外科で多用される神経ブロック療法で使われる場所を選択することが多いですが、経穴や経絡からのアプローチも併用して施術を行います。
施術方法は基本的に<<美顔鍼>>と同じで表情筋に鍼を刺して微弱な低周波通電を行い強制的に動かして麻痺の改善を図ります。
なお顔面神経麻痺の臨床的評価方法はスコア法(表情運動の視覚的点数化)が広く用いられHouse-Brackmann法や40点法(柳原法)があります。当院でも採用していましたが、評価に主観が入りやすく学会発表を考えたとき、より客観化できるEMGセンサーを用いた方法を現在検討中です。しかし、一番違和感を感じていて回復を真っ先に感じるのはるのは患者さんご本人ですね。
過去の学術研究で顔面神経麻痺に行った低周波治療が病的共同運動を誘発する可能性が高いという報告がありましたが、鍼による低周波通電は別です。鍼灸学会の文献を検索すると科学的根拠に基づく有効例がたくさん登録されています。
国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が運営する電子ジャーナルプラットフォーム『J-STAGE』より顔面神経麻痺に対する鍼灸治療